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一話   真偽都市国家   13

「おい、フィーリ。一つ聞きたいんだが・・」
「なぁに?ロー君♪」
なんでも言って~とばかりに顔をきらきらさせている。
「いつからあの審査官が国王であの国が偽りだと分かった?」
最後までそれがどういう仕組みになっていたのかが分からない。結局西の街というものは後に見た地図上にはなかったし、東の街は安全というのも今考えれば嘘だったのだ。あの男は後悔をしていると言ったがそれも結局は嘘だったのだろうか。そうとは思いたくないが・・。
「初め見たときから・・かなぁ?国王だとは分からなかったけど高貴な人だと思ったね。んで、あの国が偽りだと分かったのは扉かな?初めにあったでしょ」
「あぁ、女神と魔王の・・」
やけにフィーリが目を輝かせて観察していたアレだ。
「あれの動力源である魔力がなんだかどす黒いな~って思ったのと、あの意味だよ。あの扉には二つの魔術の詩の一部がね。えっと・・第五百三十二節フェリスの開花に七百八節テオの福音だったかな??」
そんなことを尋ねられてもさっぱり分からない。そうなのか?と曖昧に答える。
「フェリスのほうは真実をモチーフにした詩の一説で、テオは後から付け加えられたみたいだったんだ~。あ、テオは嘘つきの聖人の詩ね♪」
わざわざ真実の上から嘘つきを重ねるなんて真似普通はしないよ~と続けた。何も考えていなさそうに見えてちゃんと見ているんじゃないか。なら、前もって教えてほしいところだ。そういってもこいつには全く意味がないだろうと考えてやめる。
「でも、あの国王は反省していたね~」
「そうか?西の街などというものもなかったし、東の街は危険だらけだったじゃないか」
あれは捉え方によるものだよぉ~と彼は笑った。
「僕らが行ったのは西の街だったんだよ。東の街というのはあのおじさんがいたところ」
つまりね・・。
「あのおじさんはこの国の現状を僕らに見てほしかっただけなのさ」
単純に自分では手の尽くせないところを旅人に見てほしかった、と言うところか。納得・・というよりはため息しか出ない気がした。
「訪れた者にとっては迷惑でしかないな」
「でも、もう大丈夫だよ。あの国はきっと幸せになる」
きらきらと雲ひとつなく晴れ渡る空と魔法使いの笑顔。いや絶対平気なのだろうと、何故か思える気がした。
「いい天気ぃ~♪」
う~ん、と気持ち良さそうに伸びをするフィーリ。俺は立ち上がる。
「いくか」
「うん!!」

                          一話   真偽都市国家   Fin

by vrougev | 2005-10-11 19:25 | きらきら☆まじしゃん【休止中】