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はろうぃんな人々   3

場所は変わって此処は人ならず者、いわゆる精霊達が住まう亜空間。そして、そんな中でも上級精霊しか立ち入る事のできない一角の神聖な場所。CIRCLRの彼らと契りを交わした五属性の精霊は日ごろはここに住んでいる。
「私が何故こんな格好をしなければならないのかが分からないのだが・・」
困惑と照れと怒りの混じったような表情を浮かべるのは白銀の髪の男。榛の瞳は目の前の彼らを見据えている。とても渋めの顔をしたフェンリル。
「いいじゃなぁ~い♪フェンリル♪」
「サイコー!!フェンリル似合いすぎだぜ!!」
それを見て笑う・・というか大爆笑しているのは緩やかなカーブを描く長い金髪の女性とと小麦肌に向日葵のような瞳の少年。そんな彼らも自分たちの相棒に習い、ちゃんと仮装している。女性は、すっかり着崩れているが前が合わせになっている・・着物というもの。少年は、連なる金のボタンがアクセントになっている、詰襟の黒いツーピース。
ところで、二人とも何に対してそこまで笑っているのか。
原因は彼の、フェンリルの格好にあった。
髪に飾られているのは赤や黄色などの鳥の羽。鮮やかなばかりの花々。顔には赤い顔料でなにやら術式のような模様が描かれている。そして、その格好はまさに・・
「「インディアーン♪」」
「黙っていろ」
彼ら二人の声が見事にかぶった。
そんな横ではかわいらしいやり取りが聞こえてくる。
「シオン、童の格好は似合っておるか??」
いつもなら水色の髪を結っている少女は髪を下ろし、洋服を着ている。フリルが付いた王族の娘が着るような・・アレ。ふりふり、きらきらしたものに慣れず俯きながら恥ずかしそうに目の前の少年に尋ねた。
「うん、可愛いよ。リーヴァ」
その様子に笑い答えるのは薄紫の髪の少年。彼も黒い燕尾を着て彼女に手を差し出す。
その手には一粒の飴玉が握られていて・・。
仲むつまじいことこの上ない。
と、まぁこんなところでもハロウィンの仮装文化は運び行っているのだった。

by vrougev | 2005-10-25 00:03 | キセツモノ