人気ブログランキング | 話題のタグを見る

はろうぃんな人々   4

そして、舞台を地上に戻し、先ほどとは少し離れた場所。
「ねぇ~ロー君?可愛い??」
黒いドレスに白いフリルのついたエプロン。手の内にある杖は普段ようなものではない。なんというか・・モップ。
そしてくるりと楽しそうにその場で回る女性・・否、相方であるフィーリは何処からどう見ても男には見えなかった。
「ハロウィンの仮装~♪メイドさんだよぉ~♪」
そう言ってロジェに歩み寄ってくる姿は確かに女性と言っても通じるだろう。しかし、だ。
「仮装、じゃなくてお前のは趣味だろうが」
変装のため♪とは言っているが実はフィーリは楽しんでやっていることをロジェは知っている。呆れもここまでくると何もいえない。ロジェ自身も「仮装~!!」といわれて仕方なく紙でできたかぼちゃのお面を頭に下げているが、ココまで本格的にやるやつも珍しい。
「でも、可愛いでしょ♪」
真珠のような白い肌、針金のようにまっすぐな薄茶の髪はフリルのリボンで結われてなびく。男とは思えない美貌のためか、道行く人がフィーリの姿に振り返る。確かに女装だとはロジェも思えないが・・・。
「馬鹿やってないで行くぞ」
「ねぇ、ロー君」
きびすを返したロジェはそう呼び止められ、肩越しに振り返る。そこにはフィーリの顔と差し出された手。急にアップになった顔に思わず半歩下がってしまった。にこりと笑う。悪戯交じりの穏やかな微笑みを浮かべて。
「お菓子頂戴♪」
少しばかりどきっとしてしまった自分がどうしようもなく嫌になった。

by vrougev | 2005-10-25 19:49 | キセツモノ