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くりすます★まじしゃん   5

帰ってきたロジェが見たのは多くのうなだれた男共と一人の可憐な少女だった。
「おい!!お前!!」
戻って来るなりいきなり胸ぐらをつかまれたロジェは反射的な行動で持っていたソフトクリームを男の顔に押し付けた。そして、横から詰め寄る男には自分用に買ったホットコーヒーをかけてやる。
「なんだ」
更に輪をかけて騒ぎ立てる男の群れの中一人の少女が声を張り上げる。
「私の代わりにフィーリさんが黒い男たちに!!」
依頼人だと言った少女は声を更に張り上げる。
「つかまっちゃったんです!!彼らは何をするか!!」
「そうだそうだ」
横から五月蝿いばかりの男の相槌。
「お前はフィーリちゃんの彼氏なんじゃなかったのかよ!!」
「彼女、あの男の腕にぎゅって掴まってたんだぞ!!」
「可愛い彼女を放っておくのがいけないんだぞ!!」
「事を分かっていないやつは黙ってろ」
一言でその場を制したロジェは少女に聞く。一瞬にしてその場はしん、となった。
「あいつがどこにさらわれたか分かるか」
「たぶん・・ここ」
そういって少女は一枚のメモをかばんから取り出した。
「分かった」
そのメモを受け取る。この敷地内・・か。そう、遠くはない。歩いてでもいける距離だ。
さっさとそこへ行こうと数歩歩いたとき思い出し、止まり振り返る。
「おい」
「なんだよ!!」
返事をしたのは先ほどロジェにホットコーヒーをかけられたやつだ。流石、威勢がいい。
「そこの少女をしばらく頼む」
その一言だけを言い残し、また歩きはじめる。
彼がなんと返したのかは分からない。音は突風に呑まれた。
また変な問題起こしやがって・・。

「おい!!あれはどこだ!!」
「ん~?あれってなぁに♪フィーリ分かんないよぉ?」
「何だ!?この尼!!ふざけんじゃねぇ!!」
「・・・尼でもないのになぁ♪」
「あぁ!?」
「気が立ってるなら落ち着く歌でも歌ってあげるよ♪」
そういってサンタ服の女は旋律を口ずさむ。椅子に座らされ、両手と両足はきつく縄で縛られていた。
しかし、男たちは気づかなかった。何よりも重大なことを。
手足よりもその口を封じたほうがいい事を。

by vrougev | 2005-12-25 21:07 | キセツモノ