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くりすます★まじしゃん   7

確かに外には雪が降っていた。ひらひらと儚げな結晶が地に落ちては解け、人肌に触れては解けていた。空から降るのは天使だと昔の記憶の片隅で誰かが言っていたが、これでは天使ではなく単に塵でしかない。それでも、人々に夢を与えるのだから不思議で仕方がない。
「綺麗~♪」
横で感動してみているのがいい例だ。ロジェにはそのよさがほとんど分からないが。
「知ってる?雪にもね、魔力が微々たる量だけど含まれているんだよっ♪」
やや興奮気味に言ったフィーリは早口に何かを唱える。何を言っているのかはロジェには聞き取れなかったが、次の瞬間には驚き、そして眼を見張った。
塵のようだった雪は発光し、ひらひらと舞い落ちながら色とりどりのひと時だけの美しさを魅せていた。瞳を奪われるような色彩の豊かに思わずロジェも感嘆の声を上げるのであった。そして、ロジェの表情に満足したかのようなフィーリは彼の腕にぎゅっと抱きつき、高らかに言った。
「メリークリスマス!!」
聖なる日に乾杯。

                                  くりすます★まじしゃん   Fin

by vrougev | 2005-12-25 22:43 | キセツモノ