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春告げ草の調べ   1

もうすぐ春ですね。
そろそろ桃の節句も近づいてきました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

「明かりをつけましょぼんぼりにぃ~♪」
楽しそうに歌いながら町を歩く者がいた。周りの注目を一身に背負っている。
「ちょっと待て」
「ん?どうしたの??ロー君」
「その格好は何だ」
いつもにまして注目されるのはフィーリの格好がおかしいからである。どこがと言わず全体的に、だ。まず、フィーリの髪の毛は長い黒髪。普段は薄茶のものをわざわざ染め粉で染めていたのは見た。分け目を変え、額を出す髪型にしているのも知っている。
まぁ、これぐらいなら普通にやっている人もいるだろう。この時点でも問題はあると思うが、だ。
問題は服にある。ひらひらとした木綿の色とりどりの前あわせの服を着ているのだがその量が膨大なのだ。十数枚を着ているのだから半端じゃないし、その上赤い派手な上着のようなものまで羽織るのだ。そして、ちらりと見えるのは赤い袴である。
ちなみに更に言うと女物だ。
「可愛いでしょ?お姫様だよ♪」
「いや、そういう問題じゃない」
「ロー君のためにお内裏様も用意したのに・・着てくれないの?」
「絶対嫌だ!!」
「そうじゃないと妖精さんが来ないんだよ!!」
「来なくていい!!」
仮装好きの妖精がいてたまるか。ちなみに桃の節句といわれる今日をロジェは詳しく知らない。
「今日って結局何の日なんだ」
そんなロジェをぽかんとフィーリは見る。
「ロー君・・知らないの!?」
「知らない」
自分に必要の無い情報は片っ端から切り捨てるロジェだ。そんなの知らなくても今まで生きていられたし。
「今日はひな祭り!!古来から伝わる女の子の節句なんだよっ♪」
なるほど、だから女装か、と納得しそうになったロジェは当たり前のことを思い出す。
「じゃぁ、関係ないじゃないか」
フィーリもロジェもれっきとした男だ。しかもいい加減いい大人である。
うっ・・・と一瞬回答に詰まったフィーリは少し無理やりな理屈を通す。
「お祭りは皆で楽しんだほうがいいの!!」
もうあえて突っ込まないことにしておく。突っ込んだところで返って疲れる答えが返ってくるのだから。
「具体的にどんなものなんだ?」
「ん~とねぇ・・・」
この時影でにやりとフィーリが笑ったのにロジェは気がつかなかった。
「女の子が~好きな男の子を自由に扱える日なんだよ♪」

by vrougev | 2006-03-01 21:13 | キセツモノ