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春告げ草の調べ   2

「嘘だな」
即答だ。当たり前にそんなのを信じる人がいると思うか。
「でもでもでも!!そうなんだってばぁ~!!」
じゃぁCIRCLEに聞いてみようよ、とフィーリは背負っていた杖を取り出す。
そしてぶつぶつと何かを唱えた後太陽に向かって宝玉をかざす。
すると、珠自体が輝き、中に見たことある人物が浮かび上がった。
「フィーリ、どうかしました?」
赤茶の髪に柔らかなまなざし、新田慶之だ。少し前にお世話になった彼は変わらぬ笑みを浮かべる。
「ねぇ、慶之!!ひな祭りって元は女の子が好きな男の子を自由に扱う日なんだよね?」
にっこりと尋ねたフィーリも問いにきょとんとした慶之。
「そ、そうなんですか??」
(あ~しらなかったかぁ・・)
心の中でフィーリは思うもそれを表に出すことはしない。
「そうだよぉ~♪飛鳥に聞いてみてよぉ~」
「あ、はい」
画面から慶之が消え、代わりに飛鳥が写る。
「よぉ」
「飛鳥見て~♪可愛いでしょ?」
「お姫様か?いいんじゃないのか」
「でしょ~♪で、一つ聞きたいことがあるんだけど・・」
そういって慶之にしたのと同じ質問をする。一瞬虚をついたような顔をしたものの、それはすぐにいつもの微笑へと変わる。
「あぁ、そうだったな」
「そうなのか!?」
「そういう古の祭りもあったってことだよな?フィーリ」
「うんっ♪僕らは魔法使いだから~古のものを忠実に再現しなきゃってことだよね?」
「まぁな」
その笑みがいつものように悪魔に見えたのはロジェの間違いだろうか。
「ということだ、じゃぁな」
そういってふっと宝玉は元の白亜に戻った。消えるその前に飛鳥が楽しそうに笑みを、いや何かを企んでいたのは間違いないのだろう。
しかし、だ。
「ね~?僕の言ったとおりだったでしょう?」
「あ、あぁ・・」
第三者まで介入され、しかもそれが認められたらなんともいえない。
「ということで今日はロー君に何かしてもらお~っとぉ♪」
にっこりと春風味の笑みはどこか含んだ目だった。

by vrougev | 2006-03-02 00:25 | キセツモノ