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くりすます★まじしゃん   1

朝、目が覚めると一枚の紙切れが机の上に置かれていた。ひらひらと開け放たれた窓によってその紙切れはなびいている。
ゆっくりとベッドから起き上がったロジェは寝ぼけ眼なままその紙をとり、見やる。
やや左上がりの字体。

今日、十時半に広場の銅像前に集合ね♪

隣をみる。布団が押し上げられ、空のベッド。少しシーツが乱れているのは人がいた証拠だ。ふと目に入った時計の針は七時半を示している。
いつもよりも遅い・・か。
もう一度紙をみる。明らかにフィーリの字である。いつもならこの時間は寝ているというのに彼は今ここにはいない。
何を企んでいるんだか。
だが分かる事として、いかないとまちがいなく拗ねて怒るだろう。別にそれ自体が怖いわけではない。ただ、騒がれるとうるさいので嫌だ。
一つため息をついた。もう癖になっている。ため息の癖は不幸を呼ぶというがあながち嘘でもないのかもしれない。そんなことを思った。
軽く体を動かした後、服を着替えようと思い扉を開ける。
そこで、更なる謎がロジェを襲うのであった。
部屋に備え付けのクローゼットの中には・・フィーリの服が一式入っているのだった。
ローブ、上着・・そして杖まで。お互い持っている洋服は一着だけではない。数着は普段から替えとして持ち歩いているのだ、が。杖までこんなところに入っていていいのだろうか。
なんか・・嫌な予感がする。
魔法使いとの旅で培った勘がそういっている。しかし・・行かなければなのだろう。厄日じゃないことを心の隅で祈りながらロジェは身支度を始めた。

しかし、その期待はもちろん見事木っ端微塵に打ち砕かれることとなるのであった。

by vrougev | 2005-12-04 01:49 | キセツモノ