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番外編   人参の夕暮れ   2

「・・・なんでこんな展開になったんだ・・・」
一人道に残されたロジェは深いため息をついた。類は友を呼ぶ。確かに呼んだ。
いない二人はというと・・お互い道の端のほうにある草むらの中でごそごそと着替えている。このどちらも見ていない隙にどこかへ行きたい衝動に駆られるも、道の真ん中に問題児を置き去りにするなという良心の元ロジェはここにいた。
足元には丸々と太ったデルマゼルの連れの鳥がでっぷりと座っている。ここまでふてぶてしくなれる心をいっそ見習いたいぐらいだった。
「ロー君、ロー君♪見てみて~♪」
片方の・・フィーリが隠れていたほうの草むらからぴょんっとフィーリが飛び出す。その姿にロジェは一目見て、よくやると呆れた意味で感心する。
髪の毛は毛先のほうだけカールしておりふわりとした印象。頭には闇夜色の大きなとんがり帽子。白いリボンが巻かれておりそれがよく目立つ。服はレースがふんだんに使われているゴスロリという類のものなのだがやはり黒を基調としている。靴も厚底の皮靴にしましまのオーバニー。そして手にはきらきらと輝く星が先端についたステッキ。
「じゃ~ん!!魔法少女フィーリ参・上♪」
奥様にはならないよぉ♪ときゃっきゃとはしゃぎ腕を組ませる相方を引き剥がす。
「可愛い?可愛い?」
ガーちゃんもどう思う~?とうきうき気分で巨大な鳥を持ち上げ、空に放り投げる。やっぱりうざそうな顔をしたガルはそのまま、ばさばさと翼を広げ不恰好ながらもその相方がいる草むらへと飛び込んだ。どかっと鈍い音がする。ばさばさとその他の野の鳥たちが飛び立つほどの音だ。
「・・・大丈夫か・・」
他人ながら心配になる。何せ、やつだ。出会ったばかりだとはいえ、どんなやつかぐらいはわかる。
「僕みてくるぅ~♪」
「あ、こらっ・・」
ロジェが止める前にフィーリは茂みの中に飛び込んだ。そして、その途端叫び声があがる。
デルマゼルのものではなく、フィーリの。茂みを掻き分け出てきたフィーリは真っ先にいうのであった。
「ロー君!!ルマゼ君の止血っ!!止血してぇ~!!」
「は?」
分けが解らずすっとんきょんな声をあげたロジェにフィーリはぐいと茂みの中からデルマゼルを引っ張る。その頭から血がだくだくと泉のように湧き出てるのであった。
「!!!!」
急いで鞄を漁るロジェにデルマゼルは相変わらずの抑揚のない声でつぶやく。
「あ・・・気にしないで・・・血も・・・萌え・・」
「萌えないよっ!!どこら辺のマニアックな人たちの萌えだよぉ!!」
珍しく突っ込んだフィーリの肩をデルマゼルがぽんっと叩いた。その目はどこか真剣みを帯びているように見える。
「それも・・また・・・いい・・・・」
「そ、そう・・?ロー君止血しないでいいって~♪」
「いいわけあるか!!」
ここで倒れられて何かと問題になったらどうするのだ。やっとの思いで探し当てた滅多なことでは使われない包帯を思いっきり伸ばす。それを見たデルマゼルは尋ねるのであった。
「それって・・・萌え・・・・る?」
彼が、なのか他人が、なのかは解らずじまいだった。
番外編   人参の夕暮れ   2_e0033318_2255469.jpg

by vrougev | 2006-04-14 02:25 | きらきら☆まじしゃん【休止中】