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KIAIって凄い

アルテイル修正案にも負けず頑張った!!だって書かないと処刑って…処刑って…!!
クリスマス終了15分前に仕上がったさ!!

よくよく考えるとこのブログにちゃんとした(?)文章載せるの久しぶりでしたね
贈答品やら裏やらが多くてすっかり忘れてました
で、きら☆まじを最後更新したのって7月末だったのね。で、もう直ぐ一年なんだわ、九話

ワォ、ャバイ

今年中に…は無理かもしれないから、一月中にはなんとか……orz
でもデーター吹っ飛んじゃって続き何かこうとしたか忘れた^0^

頑張るとは言わないでおく、今まで頑張れてないから
そして多分明日の更新はアルテイルの考察。いや、違うかもだけど

これから修正されたものとにらめっこしてきます、ひゃほーい


|ω・`)ノ”

# by vrougev | 2007-12-26 00:53 | Life

ユール・カルーセル・ディズ   7

「おぃ、CIRCLE!!さっさと跪け!!この女を殺されたくなかったらなぁ!」
いきがる男とは対照的にローブの男は沈黙を保っていた。被ったフードのせいで表情は分からない。さく、さく、さく、と新雪を踏みながら白ローブの男はシュドとの距離を一歩一歩狭める。迫り来る威圧にシュドは一歩下がり、喚いた。
「来るな、来たらこいつを殺すぞ!」
「お前に殺せるものか」
男は冷静に淡々と告げる。さく、さく、さく。
「縛っている縄を解き、解放しろ。そして、大人しく逃亡をやめるんだ」
「そんな事…はい、なんていう馬鹿がいるかぁ!!!」
まぁ、普通はいないだろう。威圧に耐えられなくなりつつあるのか、それとも狂的に人格が壊れ始めているのか、はたまたテンションが高いだけなのか。シュドの声は次第に大きく、荒れた。その様子に一つ溜息をついた男は言う。
「なら、実力行使する」
「させるか!!」
にたり、とシュドは笑う。そして叫んだ。
「創造主の命に従え!この向かってくる狗の動きを止めるんだ!!」
それは魔術師が術を掛ける様な契約説のようであった。
声に応じるようにかぱり、と鞄がひとりでに開いた。中には厳重に布で包まれた何かが封じられるように鎖に縛られている。
かしゃん。鎖が解け、地面に落ちた。するり、と布が外れる。現われたのは宝玉だ。
綺麗…とは言いがたいいろんな色が混じり濁った合成宝玉である。ふわりと宙に浮いた其れは辺りを照らすかのように光を放つ。眩い閃光。
あれが、時間を止める魔術具。
「ふは…ははは!これで手が出ないだろう!!」
閃光が晴れれば其処には時の止まったローブの男がいるはずだ。忌々しい国家の狗が。
だが、勝ち誇るように笑っているシュドの顔はそのまま凍りついたように固まった。
光の中から男が現われたからだ。ばっと飛ぶように男は駆けた。
「な…」
彼にとってまだローブの男が動ける事は予想外だったのだろう。
フィーリは微笑みながら言ってやった。
「無駄だよ。彼には、ね」
男は白いローブを払いのける。その下から現われたのは闇夜色の剣。そして鋭い漆黒の意志の揺るがぬ瞳。男はあわわわ、とうろたえるシュドに刀を当てる。
それは一瞬だった。殺さぬよう、峰で。長い一瞬だった。
どさり、とシュドの倒れた音を聞きながらロジェは夜空に呟いた。
「俺に魔力はないからな」

「わーん!ロー君なら助けてくれると思ってたぁっ♪」
フィーリを縛っていた縄を切ると、フィーリはそのままがばりとロジェに抱きついた。首に回された手が冷たい。大分長い時間此処にいたようだ。ロジェは今まで着ていたCIRCLEから借りたローブをばさりとフィーリにかぶせる。
「何捕まってるんだ、馬鹿が」
「だってほら、僕が可愛いからっ♪」
えへ、と可愛らしく努めて笑うフィーリの姿にロジェは白い息を吐いた。
「全く…今日は厄日だ…」
今日だけでなくいつも、の間違いかもしれないが。
「やっぱりロジェにやらせて正解だったな」
「飛鳥!皆も!!」
背後から聞こえた声にフィーリが反応する。様子からするとフィーリも事情を大体は察しているようだった。もしかしたら前もって何か接触があったのかもしれない。
「ロジェさん、フィーリさん…ごめんなさい…!」
「静ちゃんが謝ることじゃないよー♪」
今日の静羽は謝ってばかりだ。何一つ彼女は悪い事はしていないのだが性格上、そういう立ち位置になるのかもしれない。静羽もまた苦労人だ。ロジェは密かに同情する。
「さて…俺達は帰るか、こいつ引き連れて、な」
気を失い倒れているシュズ=エールと主の命令無く地面に転がる宝玉を示した。夕京がシュズを引きずり、くいなが宝玉を拾う。持ち帰って破壊するのか。
はたまた自分達の研究用に使うのかは分からない。唯、言えるのは。
「もう二度とこんな役割は御免だ」
ロジェの言葉に飛鳥はくくく、といつものように笑う。
「どうだか」
「飛鳥」
窘める様に厳しい声を出した慶之は向きを変え、フィーリとロジェに微笑みかける。
「では、今晩はこれで失礼します。良きクリスマスを」
「うん、慶之も頑張ってね!」
その言葉で僅かに慶之の肩が強張る。彼も色々…大変なのだろう。
一礼した彼等はそのまま何かを唱えるとふっとその場から突然消えた。
振り返っても雪原には足跡一つ無く此処に居た痕跡すらも消えていることに気が付く。
改めて理解する。これがCIRCLE、調律者か。
「あ、あのね…ロー君…」
「なんだ」
口ごもるフィーリを珍しく感じながら答える。がばっと伏せた顔を上げたフィーリは涙目だった。一体何事か。身構えるロジェにフィーリは言った。
「プレゼントね、買えなかったの……」
其の発言に思わずロジェはぷっと噴出し笑った。声を上げて笑うロジェに今度はフィーリが身構える番だった。
「ロー君!?ど、どうしたの?」
「俺も買ってない」
「え!?」
驚いたフィーリに「悪いな」とロジェは謝り、そして訊ねた。
「だが、クリスマスは…正確には明日なんだろう?」
「うん」
「なら、明日祝えばいい。厄介事は全て忘れて…な」
らしくないロジェの言葉に目を丸くしたフィーリにロジェは「嫌か?」と窺うと首を横にぶんぶんとフィーリは振った。満面の笑顔で再びロジェに抱きついた。
「うん!ロー君やっぱり大好きだぁ♪」
「こら、引っ付くな」

明日は一緒に市場を回ろう。そしてお互いに欲しいものを買うんだ。
夜には鳥と…フィーリのためにケーキも焼いて。たまにはお酒も飲んでいいか。
だから今はこの言葉だけを捧げる。大きなツリーの下、この日に感謝を。
「「メリークリスマス!!」」


                                        ユール・カルーセル・ディズ   Fin

# by vrougev | 2007-12-25 23:42 | キセツモノ

ユール・カルーセル・ディズ   6

空から男の卑下な笑い声が降り注ぐ。
「この娘はお前達が俺の要求を拒否したら殺すことにしよう!!綺麗な女だから研究媒介にでもしてやろうかねぇ?」
そう言い残して映像はふっと消えた。先程よりもまた暗くなった空が広がる。
「何でアイツが……?」
「泳がせ過ぎたな」
聞き覚えのある男の声にばっとロジェは振り向く。すると、其処には飛鳥率いるCIRCLE全員が立っていた。いつでも不敵な微笑を絶やさない飛鳥を睨みつけながらロジェは低い声で問う。
「どういうことだ、説明しろ」
「アイツは俺達が追っていた奴だよ」
飛鳥の代わりに夕京が答え、手に持っていた紙をロジェに渡す。一人の男の顔写真と経歴書。極秘、と言う赤い判子が押されている。
「名はシュド=エール、某国の魔術研究員でした。一般の人が快適に生活できるような魔術具を作るのを生業としていたようです。魔力は並み、生活していくには不便の無い程度ですね」
「だけどねぇ、研究内容が問題でさぁー。ローちゃんは魔術師の禁忌って知ってるー?」
くいなの問いにロジェは首を横に振る。死人を生き返らせる事が禁忌であったか。
「魔術師の禁忌は多くあるのですが、その中の一つに時間の停止、というものがあるのです。彼の発明した魔術具の効果は『魔力を持つものに対しての時間の停止』。此処まで言えば…察しのいい貴方ならば分かるでしょう」
時を自由に止められるのならば何が出来るか。考えるまでもない。
「偶然といえ出来てしまったのが不幸だな。で、それを手放せばいいものを執着しやがった。そして、こんな所まで逃げやがって」
全く、と言った様子で飛鳥は苦笑した。飛鳥はこの状況を楽しんでいる。
「…アイツが何処にいるか、お前達は分かるか」
CIRCLEがどう動くのかなんて興味は無い。ただ、ロジェにはやらなければならない事があるのだ。
「知ってどうするんだ?」
試すように飛鳥は言い、僅かに見上げる。何を考えているか読めない策士の視線を真っ直ぐ見返しながらロジェはきっぱりと言い放った。
「助けに行く」

一体今は何時なのだろう。
外はすっかり闇に染まり、ちらちらと雪が降り始める。今夜もまた冷えそうだ。自然の白色絨毯の上に座らされ、体を縛られているフィーリは面白くなさそうに呟く。
「最近こんな役回りばっかり…面白くない」
不覚だった。振り返った瞬間にまさか飛鳥はこれを知っていたのだ。と、すると元々囮にされていたか。魅了系の術でも気が付かないうちに掛けられていたのか。
「ねぇ、僕をこんな風に縛り付けて君はどうしたいの?」
落ち着かないようで木の回りをうろうろとする男に苛々しながら言うと叫ばれた。
「大人しくしてればいいんだよ!」
「せっかくのさ、クリスマスをさ邪魔されてさぁ。あーぁ、やってられないぃー!!」
「静かにしろ!!俺は今真剣なんだ!」
「僕、君のせいでさプレゼント買えなかったんだよ。どうしてくれるのさぁ」
「黙らないと殺すぞ!女!!」
男の言う事を聞く気はない。普段のフィーリならもう少し素直に応じたかもしれないが、この男は日が悪かった。よりにもよってこんな日に。
叫ぶことしかしない男にフィーリは鼻で笑う。馬鹿みたいだ。
「ねぇ、シュド=エール。こんなこと愚かだと思わない?」
名乗ってもいない本名を呼ばれ驚いたのだろう。動きがぴたりと止まった。かまう事無くフィーリは横に無造作に置かれているアタッシュケースを見ながら続けた。
「時止めの研究の産物が其れ?ざっと感じるところ魔力を持つモノに対して働く時止めの魔術具?でも、それだと止まっても三分ぐらいだよねぇ。CIRCLEも良く動くよ、そんなしょっぼいもので働くなんて。僕だったら絶対嫌だなぁ、面倒だし」
絶句しているシュドを横目に「逃げられた君も凄いけどさ」とフィーリは付け足す。
きっと飛鳥が遊び半分で逃がしたんだろう。で、年末だから仕事片付けなきゃいけないけど自分だけ働くのは嫌だから全員引き連れてとか。
飛鳥の性格なら容易に想像ができる。絶対そうに違いない。
「は!そんな口を叩いたところでお前は何もできないじゃないか!事態がどう動こうと俺に殺される運命なんだよぉ!!」
狂人の様に笑いまくるシェドにフィーリは小声で「きっも」と呟いた。
早くこんなのから解放されたい。
魔法を使えば簡単だけれどロー君に怒られるからなぁ。
「ひゃは、やっと来たかぁ!国家の犬がぁ!!」
再び雄たけびを上げた男の言葉にフィーリは反応する。
フィーリの真ん前、積雪の上に白いローブの男、と思われる人物が立っていた。
白いローブはCIRCLEの特権。その姿にフィーリは微笑む。
国家の犬?そんな訳無いじゃないか。

あれは…お姫様を助けに来た王子様、さ。

# by vrougev | 2007-12-25 21:11 | キセツモノ

ユール・カルーセル・ディズ   5

「何処にいるんだ…一体……」
「すみません……」
あれからどれだけ過ぎただろうか。日の光はそろそろ役目を終える事を告げるかのように紅く染まり、闇夜を呼んでいた。
「気にするな、お前のせいじゃない」
ロジェはそう言葉を掛けながらも疲労による溜息をつく。夕京捜索は難航していた。人混みを掻き分けながらの捜索は楽ではなく、そして対象は動くのだ。何処かで見落としてきたと言う可能性もある。何処を探したら見つかるというアテも無いためただ探すしかない。広場に立っていた時計台をちらりと見る。四時半。フィーリはどうしただろうか。変な事を引き起こしていなければ良いが。
「もし…急いでいるようなら後は私が探すのでロジェさんは宿に帰った方がよろしいのではないですか?フィーリさんの事もありますし…」
「いや、此処まで探したんだ。最後まで付き合おう」
此処で引き下がるのを拒んだのはロジェの性格だ。単純に悔しいという気持ちからの発言であったが静羽はそれを知らずか「ありがとうございます」と申し訳なさそうに言う。
「勝手に動いちゃいけないって飛鳥さんから言われているのに、夕京ってば」
それは静羽の独り言だった。だが、其処に現われた人物の名前にロジェは目を丸くする。
「飛鳥…?」
紅末飛鳥。彼女の属するCLRCLEの中のリーダーであり、恐らく最強の男。
他愛無い会話の中になら出てきてもおかしくない名前だが、この場の独り言の中で出てくるにはおかしい名前である。ロジェが反復すると静羽ははっと気が付いたように口を手で押さえた。何か、あるようだ。
「あの男、また何かしたのか。それとも…」
其処まで言ってロジェは物事を察した。どうして彼女が、夕京が此処にいるのか。
察せない程馬鹿であったほうがよかったのかもしれない。
「あの、えっと…」
問うロジェに静羽は困ったように視線を彷徨わせる。額に手を当てロジェは息を吐いた。そもそも、よくよく考えなくても彼等はCIRCLEなのだ。何かしら事件があり、其れを追っている可能性を考えていなかったロジェが悪い。そして既に首を突っ込んでしまっているのかもしれない可能性を思い立ち激しく後悔した。
「ご、ごめんなさい…」
「…気にするな、お前のせいじゃない」
とりあえず謝る静羽にロジェは先程同様の台詞を投げる。だがそれは彼女にと言うより自分に言い聞かせて、念を押すように一息で言った。
「俺は其れに関わりあう気はない。だから其の件については何も言うな、喋るな。後の仕事にも支障が出るだろう。早く夕京を探すぞ」
「は、はい…」
それきり黙ったまま二人は歩く。ロジェは迎えるであろう聖夜に祈る。
頼むから何も起こらないでくれ。

しかし、聖夜もまたロジェには残酷な仕打ちをする。告げたのは静羽に入った一本の連絡だった。
「静羽、聞こえるかよ!静羽!!」
彼女の鞄に付けられたストラップから突然少年の声が響いた。その声の主こそ先刻よりロジェと静羽が必死に探していた泰葉夕京である。
「夕京!何処にいたの!勝手に行動しちゃ駄目って飛鳥さんに言われたでしょ!」
通信具である其れを鞄から外し、手の内に置いた静羽は怒りを込めた口調で注意する。だが、夕京は「悪い!」と一言謝ると「それより聞いてくれ」と続けた。
「アイツ、人質とりやがったみてぇだ!」
「えっ!!」
アイツ、は恐らく犯人なのだろうな。人質とはまた厄介なものをとられたものだ、とロジェは思う。それを救出しつつ、相手を倒さなければならない。前者を怠れば人質に危機が迫る。だからと言って後者を疎かにすれば自らの死を招く危険がある。
突然静羽が空を見上げる。つられるようにロジェも見上げる。すると、既に星達があちこちに出始めている空が不意に空が輝き、映像が浮かんだ。映り初めに認識したのは立派なもみの木である。天辺には星が飾られているだけの簡素なツリー。そして其の前には一人、男が立っていた。骨と皮のみで構成されているのではないかと思うほどがりがりに痩せた男は土色のローブを靡かせながら笑っていた。
「ははは、偉大なるCIRCLE諸君!いい加減この俺を追うのは止めるんだな!お前達には其の義務がある。いや、それだけでは足りないな。逃亡を援助してもらおうか!!」
「何を馬鹿なことを…」
横で静羽が呟いた。ストラップを持つ其の手は硬く握られている。CIRCLEを挑発するように男は続ける。
「だが、お前達の事だ。どうせ俺の願いは聞き入れてくれんのだろう、なぁ!だから、俺もちゃんと考えたさ」
男がにやりと笑い、ツリーの下から退いた。もみの木の太い幹にもたれ掛かるようにして誰かが座っていた。否、縛りつけられていた。
夜空に映る其の姿にロジェは目を見開く。硬く目を閉じ動かぬその人影は…。
「フィーリ!」

# by vrougev | 2007-12-25 15:12 | キセツモノ

ユール・カルーセル・ディズ   4

意味深な発言を残し、飛鳥は何処かへと去った。フィーリはまた一人で歩く。何気なく見つめたショウウィンドウの向こうに映る自分は独り。横に誰かがいないのは本当に久しぶりだ。光り輝く照明に照らされていたのは包装紙に包まれたプレゼントの数々。赤いリボン、青いリボン。白い包装紙、きらきらと反射するシール。
「綺麗だなぁ…♪」
一体僕の不器用なサンタさんは何を持ってきてくれるのだろう。
想像するだけでふふと笑いが込み上げてくる。紅い服は着てくれないだろうけれど真剣に選んだであろう素敵なものを持ってきてくれるだろう。
「僕もサンタさんに見合ったものを選ばなきゃねー♪」
るんるんと笑顔を振りまきながらスキップするフィーリに道行く人々が皆振り返る。その視線すら心地よく感じる。クリスマス、という季節に便乗しいつも異常に高揚しているのだろう。心の奥底ではそう推測できる冷静さもまたおかしかった。
「慶ちゃんー、クレープ買ってってばぁー!」
人々のざわめきの中の一つであるはずの声にフィーリは足を止めた。一人の少女が連れである青年に駄々を捏ねていた。クレープを買うか、買わないか。たまに見かける微笑ましい光景の一遍にしか過ぎないのだがその声音には覚えがあった。人の流れに逆い彼等に近づく。優しそうな顔の青年は少女を優しく諭すように言う。
「それよりもやることがあるでしょう。全てはそれが終わってからです」
まるで兄妹のようなやり取り。だが、間違いない。彼等は。
「慶之!?くいな!?」
思わず声を上げてしまったフィーリ。その声に気付いたらしい二人は魔術師の存在を見つけ、ひらひらと手を振る。くいなと呼ばれた少女はツインテールを振り乱しながらフィーリに駆け寄ってきた。大きく丸い瞳に僅かにつった眉。背伸びしようとしてはいるもののまだ幼さが残る少女は出会えたことを喜ぶようにフィーリに抱きついた。
「フィーちゃんだぁ!久しぶりだねー!!」
「フィーリ、貴方もこの街にいたんですか」
くいなの後からやってきた慶之はにこやかにフィーリに微笑みかけた。
「それはこっちの台詞だよ!さっき飛鳥に会っただけでもびっくりしたのに…」
飛鳥、くいな、慶之。
此処までCIRCLEが揃っているという事はきっと後二人もいるのだろう。
「全員が揃ってるなんて…珍しいね。それだけ厳しい仕事なの?」
普段は集って一人、二人。三人以上は珍しい事である。
「仕事?何のことです」
だが、慶之はにこやかに続けた。動揺した素振りは無く、表情から事実を、本質を読み取ることはできない。味方と言えど情報を漏らそうとしない慶之の真面目な態度にフィーリは苦笑する。
「惚けないでも僕には分かるって。だから皆居るんでしょ?」
「んー?でもあれだよねぇ慶ちゃんは純粋に静ちゃんにプレゼント買うのが仕事だったりするもんねぇ?」
くいなはにやにやと笑いながら慶之を小突く。どうやら事実のようで火を噴きそうなほど顔を真っ赤にした慶之は「黙ってください」と呟くのみであった。
「そういえばー、ローちゃんは?フィーちゃん達、喧嘩でもしたのぉ?」
ロジェがいないことを気にしていたらしい。きょろきょろと辺りを見回すくいなにフィーリは笑った。
「違うよ?僕もロー君にプレゼントを探してるんだっ♪」
経緯を話すと二人は納得がいったようだ。なぁんだ、とくいなが呟く。
「じゃぁ早くプレゼントを考えないとだねー!早くしないと日が暮れちゃうしぃー」
時計を見るともうお昼を過ぎていた。朝早く出たはずなのにプレゼントを選んでいた間にこんなにも時間が経っていたのか。冬のこの時期、ましては北の地では日の暮れる時間は早い。早くしないと直ぐに真っ暗になってしまう。
「そうだね!早くしないと!!僕も慶之も、ねっ♪」
「だってさ、慶ちゃーん!」
「……放っておいてください」
其の言葉に慶之は再び顔を赤らめて下を向く。横で笑いを堪えながらくいなは言う。
「それにしてもさぁ、フィーちゃん気をつけなよぉ?」
何に、なのだか。何を、なのだかは分からない。けれど、フィーリは笑って答えた。
「大丈夫っ♪じゃ、またぁっ♪」
そしてそのまま駆け出した。二人の柱が見守る中フィーリは人ごみに急いだ。
急がなきゃ、本当に暗くなっちゃう。

「本当に…分かっていると思います?」
去っていく背中を見つめながら慶之はくいなに訊ねる。くいなは笑いながら答えた。
「ううんー、だってフィーちゃんだよぉー?」
「……ですよね」
慶之は嫌な予感を胸に携え思う。何も無ければいいのですが。

男は路地裏に潜んでいた。一人の女性をじっと陰湿なまでに見つめて。
彼女は楽しそうに鼻歌を歌いながら、飾りたてられているウィンドウに夢中だった。
たまにちらちらと時計を見ているところから誰かと待ち合わせでもしているのか。
こんなにも俺が不幸な時に楽しみやがって。ちっと舌打ちをした男はにまりと笑う。
よし、決めた。
見せしめのための生贄はあの女にしよう。

# by vrougev | 2007-12-25 02:21 | キセツモノ